LANケーブルについて
LANケーブルに流れる信号とは 見出しへのリンク
LANケーブルに流れるネットワークの信号は、高周波信号と呼ばれます。いきなりの専門用語ですが、高周波信号とは地デジやBSのアンテナケーブルに流れている信号のようなものと考えて頂ければイメージが掴みやすいと思います。
逆に、「高」があるなら「低」もある—とピンと来た方は鋭いです。低周波信号の代表はオーディオ信号で、こちらは人間の耳で聞くことのできる低い周波数帯域の信号です。
高周波信号を流すケーブルに必要なこと 見出しへのリンク
高周波信号を流すケーブルは、専門的には伝送線路(分布定数回路) として扱います。
ざっくり言うと、「ケーブル全体が一定の特性を持った"1本の電子部品"として振る舞う」ということです。
テレビのアンテナ線が普通の電線ではなく同軸ケーブル(丸くて太い、専用ケーブル) である理由もこれです。
LANケーブルと伝送線路としての性質 見出しへのリンク
LANケーブルに流れる信号も同様に地デジなどと一緒の高周波信号ですから、LANケーブル自体が伝送線路としての特性を満たしている必要があります。
LANケーブルには「Cat5e(1Gbps対応)」や「Cat6A(10Gbps対応)」などいくつか種類があります。ただし、これらを名乗るためには対応規格に準拠していることが必須です。
しかし、市販のケーブルには準拠と書かれつつ実際には満たしていないものが多数存在します。典型例がフラットケーブルで、物理的にツイスト(外部からノイズなどの影響を受けにくくするための撚り構造)を維持できないため、ペア特性やシールド構造を確保できないのが理由です。
同軸ケーブルと同様に、対応規格準拠のLANケーブルは、ある程度の太さがあり、取り回しは正直不便です。
準拠していないケーブルで起こること 見出しへのリンク
LANケーブルは端末とスイッチ、またはスイッチ同士を接続しますが、規格に満たないケーブルを使うと次のような問題が起きがちです。
- 反射:送り出した信号が受信側で跳ね返って戻ってくる
- 減衰:信号が弱くなり識別しづらくなる
「でも通信できているよ?」と思われるかもしれませんが、これはL1(物理層)のPHYチップ(LANケーブルの信号をやりとりする物理層のIC)が必死に補正している状態です。
例えば、
- エコーキャンセラで回り込みを除去したり
- 等化器で波形を再構成したり
といった高度な処理で「無理やり成立させている」ため、破綻すると(高周波信号を流す、という観点では技術的には既に破綻)上位層(L2/EthernetやL3/IPなど)のエラー処理で誤魔化すことになり、通信速度低下が発生します。
快適に通信するには 見出しへのリンク
通信速度に見合った、規格完全準拠のケーブルを使用する。結局、これに尽きます。
L1は地味ですが、最も重要なレイヤーのひとつです。ケーブル1本で通信品質(=通信速度)は大きく変わります。
再送処理等のソフトウェア処理では、物理(L1)の限界を超えることは不可能です。
余談ですが 見出しへのリンク
反射や減衰があまり影響を及ぼさない(というかほぼ無視できる)オーディオケーブルに1m当たり数千円から万単位かけるなら、高周波信号が流れるLANケーブルにもうちょっと気配りしてもいいのでは? と個人的には思います。
Cat7 LANケーブルについて 見出しへのリンク
ちなみに、市販でよく見かけるCat7表記のLANケーブルですが、実際にはEthernet(RJ45、一般的な端末やスイッチでのコネクタ形状)では正式には規格化されていないカテゴリです。
RJ45で利用する前提の高速通信なら、現実的に選択すべきはCat6A(10Gbps対応の正式規格) となります。
Cat7と銘打ってRJ45のコネクタが付いているケーブルの場合は、マーケティング的な表現に過ぎず、実用面ではCat6Aの正規準拠品のほうが信頼できます。